ポケモンスカーレット感想記 ネモについて語りたい
ルビー・サファイア以降の作品において「ライバル枠」のキャラクターがかつてのグリーンやシルバーのようにこちらを煽ってくることは少なくなりました。
いないわけではないんです、前作剣盾のビート君が正に挑発型のライバルでしたし。
ライバル枠のキャラクターが複数人登場することで、幅が増えたと言うべきでしょうか。
特に増えたのが「主人公の友人」であるライバル達。
絶対にあいつに勝ちたい…ではなく共に歩んでいきたいと思えるような気のいい友人達。
主人公へ攻撃的な口調を見せることはなく、バトルに勝てば素直にこちらを称賛してくれます。
彼らはとても良い友人達です。
だからこそ、ここで一つ問題点が生まれます……気のいい友人たちをバトルの度に叩き潰して彼らをヘコませているということに。
基本的に主人公は勝ちます。
プレイヤーである我々はともかく、ゲーム内の主人公は感情を見せることがありません。
それゆえストーリーで描かれる、挫折からの再起といった成長物語はライバル達にとっての物語です。
主人公の超えるべき壁はポケモンリーグチャンピオンや悪の組織の首領であり、ライバル達にとっての壁が主人公という構図になっている。
生意気な口を叩かれようものならバトル勝利後に多少の余韻もあるのですが、好意的な友人に対して忍びなさも少なからず覚える。
友人達と同じ歩幅で歩くのではなく、圧倒的才能を持つ主人公の後を友人達がついてくるような感覚…これってライバルなのか…?と若干の物足りなさを感じていた中、奴が現れた ネモだ。
ネモはゲーム開始時点で既にパルデア地方チャンピオンランクに位置するトレーナーの一人。
隙あらばポケモンバトルを挑んでくるバトル大好きっ子。
パルデアトップチャンピオンであるオモダカとの試験バトルにおいても本気を出さずに勝利したというずば抜けた実力の持ち主。
ポケモンバトルが大好きなのに本気を出して戦える相手がいないという苦悩を抱えた人物。
既に地位と実力を兼ね備えたトレーナーですが、それを笠に着るような態度を見せることはありません。
バトルが好きで好きすぎてマジかよコイツと感じるシーンこそありますが。(学校のエントランスでバトルが禁止されてるが残念…って生徒会長が言うことか?)
ストーリー道中で何度もバトルし、何度も勝つことはできますがそれもネモが主人公と同じタイミングで育て始めたポケモン達でバトルするから。
バトルの後のネモは敗北のくやしさこそあれ、それ以上に主人公の成長スピードに喜び、むしろもっと早く強く育ってくれと言わんばかりの態度。
ネモとようやく本気で戦えるのはチャンピオンロードルートの最終局面。
ジムリーダーを、四天王を、そしてオモダカに勝利しやっとネモと同じチャンピオンランクのトレーナーになってからです。
そこでのバトルで勝利して、遂に主人公とネモはお互い本気でぶつかりあえるライバルになります。
ライバル枠でありながら開幕から最強トレーナーという新機軸の造形だったネモ。
ライバルに全力で勝利することへ心苦しさを感じていた私も救われたような。
それと同時に、チャンピオンロードは自分一人でジム巡りをする孤独感を感じなくもなかったので、過去の友人ライバル達のありがたさを再認識した面も多少あったり。
余談
ジムチャレンジをクリアし、さあジムリーダーとのバトルだ頑張るぞってタイミングで勝負をしかけてくるのこの子本当に凄いな…
金銀だと↓のタイミングでライバルが挑んでくるみたいなものでしょ