歴代マスティコアについて思い出語り&新セット注目カードについてだべりたい
アージェンタムのマスティコア
先制攻撃、プロテクション(多色)
あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、アージェンタムのマスティコアを生け贄に捧げる。これによりあなたがカードを1枚を捨てたとき、対戦相手がコントロールしていてマナ総量がその捨てられたカードのマナ総量以下であり土地でないパーマネント1つを対象とする。それを破壊する。
何年かに一度、思い出したかのように登場するマスティコアシリーズもついに6枚目だ。
この《アージェンタムのマスティコア》について話すのは後回しにし、歴代マスティコアの思い出を語っていこうと思う。
マスティコア
私はコロコロコミックに掲載されていた漫画「デュエル・マスターズ」で初めてMTGに触れた。
四天衆・黄昏ミミの切り札として登場したこのカードは、再生能力を字面通り墓地から蘇る能力だと勘違いしていた私を大いに絶望させた。
マスティコアが劇中で暴れられたのは主人公に泳がされていたわずか1ターンだったが、《神の怒り》による除去シーンは「かつての強敵の技を主人公が使う」構図であり当時は興奮したものだ。(今読み返すと除去コンにひたすら生物を捌かれるミミちゃんが気の毒に見える。)
実際にMTGをプレイし始めたのは漫画を手に取った日からしばらく経った後の話。
漫画で強く印象に残っていたマスティコアを私は欲しくなった…が、当時はどのセットに彼が収録されていたかを知らなかったし、そもそも私がMTGを始めた頃には地元のおもちゃ屋からウルザブロックが既に消えていたように思う。
大人になり、Penny Dreadful(非公式フォーマット Magic Online上で開催され安価カードのみ使用できる)でマスティコアのデッキを組んでみたが、マナと手札食い虫な彼をカバーできるカードが私には探し出せず使いこなせなかった。
《ギラプールの宇宙儀》等でサポートしようと試みたのだが、イマイチまとまりのあるデッキになれなかった。
剃刀毛のマスティコア
私の小学生時代のトラウマの1枚。
友人が引き当てたコイツを見て、憧れのカードに派生種がいたのを知り友人以上に昂っていた記憶がある。
だがその興奮は実際のゲームで剃刀毛を相手にして瞬く間に姿を消すことになる。
剃刀毛のマスティコアが私にとって脅威だった要因は以下の三点で
①当時の私のデッキ(フォーマット:おもちゃ屋に存在したセット全て使用可MTG)には《風のドレイク》などの小型生物が多かった。
②除去カードをあまり入手できなかった私は生物の対処を《脱水》のようなアンタップ阻害カードに頼っていた。
これでは剃刀毛の攻撃は止められても3点火力に怯えることは変わらない。
③私の地元ルールではクリーチャーに与えられたダメージがターンを跨いでも消滅しない、また手札が0でもドローしたカードをマスティコア維持に充てられる(アップキープのタイミングをよくわかっていなかった)等、マスティコア優位のやり方が多かった。
これによりタフネス4以上も除去可能&自壊しない最強剃刀毛が誕生していたのだ。
剃刀毛は先制攻撃持ちなため、チャンプブロックと地元ダメージルールの併用で倒すのも難しい。
バニラの《シルバーバック》や《針刺しワーム》ですら出されたら辛い小学生環境において、除去内蔵のこのカードはまさに頂点捕食者だった。
溶鉄の尾のマスティコア
このカードが登場した時期(2010年)の私はMTG引退状態で、復帰するとも思っていなかった。
偶々存在を知ったこのカードを見て「へーアイツ(剃刀毛)にも後輩ができたんだ」と謎の上から目線をかましていたことだけは覚えている。
パイオニアでこのカードを使えたならと思うが、除去能力がマナだけで起動できるならまだしも墓地の生物追放まで必要なのは流石に厳しいか。
小型マスティコア
カードパワーの高さが波紋を呼んだセット、モダンホライゾンにて登場した9年ぶりのマスティコア。
小型の名が示す通り、マナコスト・手札コスト・サイズ・除去効率どれもミニサイズになっている。
ただそれでカードのスペックが下がったかというとそうではなく、再生の代わりに手に入れた除去耐性「頑強」と、低マナコストのおかげで無限頑強デッキのキーパーツになれる。
手札コストがプレイ時の1枚だけで済むようになった点が地味に好き。
メリット能力だけを複数詰め込んだクリーチャーが当たり前の現代MTGでは、多少強い能力を持っているからといって毎ターン1枚の手札を要求されるのは正直割に合わない。
デメリット能力をも小型化させたこの小型マスティコアは、初代の面影を残しつつカードパワーを現代風にリメイクさせる点においてちょうどいい塩梅のカードだと思う。
灯狩人のマスティコア
多元宇宙において圧倒的少数派のはずのプレインズウォーカー(以下PW)をわざわざ狩るために作られた謎のマスティコア。
誰がなんのために?いやマジで。
せめて登場次元がわかれば考察の材料になるのだが、基本セット2021出身のためそれもかなわず。
まあPWは様々な次元で恨みを買ってそうなので、痛い目にあわされたどこかの次元の現地人が復讐に燃えて作ったか…。
それかプレインズウォーカーが敵対するプレインズウォーカー打倒のために製作したのかも。
カード性能で目を引くのはやはりプレインズウォーカーへの殺意と、あとは現代で使われなくなった再生の代わりに手に入れた破壊不能付与か。
プロテクション(プレインズウォーカー)はハッキリ言って除去耐性としてほぼ機能しないフレーバー能力である。
単体除去の強いPWが幅を利かせる環境なら多少の強みになるのだろうが、本来スタンダードで同居する予定だった最強のPW《王冠泥棒、オーコ》は灯狩人のマスティコアが発売される前に禁止カードに指定されており、続く強PW《時を解すもの、テフェリー》は灯狩人登場の1か月後に禁止指定された。
基本セット2021はオーコが登場したエルドレインの王権の1年後に発売されたセットなので、灯狩人の対PW特化型デザインにはオーコの影響があるのかもしれない。
アージェンタムのマスティコア
そして新セットで登場する最新機がこのカードだ。
イラストの構図は初代マスティコアを、ボディサイズや先制攻撃は剃刀毛のマスティコアを連想させる。
アップキープの手札コストをただのデメリットにするのではなく、除去能力に変換する発想の転換が面白い。
このカードを強く使うには彼を数ターン戦場に維持する必要があるのだが、除去耐性のプロテクション(多色)は正直かなり心許ない。
何しろ現スタンの既存カードには優秀な単色除去が山ほど存在する。《アージェンタムのマスティコア》が収録される"完全なる統一"でも、多くの新除去カードが発表されている。
だが私は除去耐性についてそこまで悲観していない。
現代MTGにおける最大の除去対策は「マナコスト順に殺意の高いカードを連打していき、相手の除去が切れたタイミングで4マナ、5マナの狂カードを投入する」だからだ。
ミッドレンジ天国ここに極まれり。
2マナや3マナのカードも殺意を備えたインフレ時代のやり方である。
現スタンには《ブランチウッドの鎧》や、森生物を生み出す《森林の目覚め》が存在するため、この新マスティコアと合わせて現代風黄昏ミミデッキを作ってみるのも面白いかもしれない。